In 阿佐谷もちより食堂
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\読売新聞に掲載されました/ 2015.5.12朝刊

日常の暮らしと、イベントの中間。
いつもの食卓の、ちょっと大きい版。

でも、「まち食」の特徴は、食卓の大きさや、作り方や、当番制にするとかしないとか、そういうことではなく、「人の関係性のつくりかた」なのだと思っています。

ひとつは、「だれかがホストで、だれかがお客」「だれかが常に仕事を担う」というような、人の関係性が固定化されることがない。自分の振る舞いで、相手の振る舞いが変わること、相手の振る舞いで、自分の振る舞いが変わることを、楽しみながら食事を囲むこと。
もうひとつは、いろんな立場や、それぞれの楽しみ方を「おたがいに認める」こと。

固定されない、多様性をみとめる。
そんな関係性の食卓が身近にあったら、いいとおもいませんか?

ーーー以下掲載内容ーーー
【知らぬ同士家庭料理の集い】
街の人々緩やかに結ぶ「まち食」

キッチンを借り、家庭料理を一緒に作って食べる―そんな食事イベントが各地で聞かれている。まちの人々をつなぐことから、「まち食」と呼ばれることも。少人数や単身の世帯が増える中、「時には大勢で食卓を囲みたい」という人に人気だ。(森谷直子)

4月中旬の日曜日。東京都杉並区の一軒家を借り、「おたがいさま食堂」というイベントが開かれた。〈一緒にご飯を作って食べよう〉というフェイスブックの呼びかけに集まったのは約30人。幼児を連れた母親や一人暮らしの男性もいた。初対面の参加者も協力して豚汁や煮物を作る。
2 時間ほどでテーブルいっぱいの料理が完成し、にぎやかな夕食が始まった。この「おたがいさま食堂」を主催しているのは同区の不動産業、斉藤志野歩さん(36)。
2年前から月1回、開いている。「いつも夫の帰宅が遅く、夕食は子どもと2人きり。『みんなで作ってみんなで食べれば楽しいのでは』と思ったのがきっかけです」と話す。子連れの母親以外にも、「普段の食事は外食ばかりで味気ない」という一人暮らしの会社員男性(39)や、逆に「料理が好きで大勢に振る舞いたい」男性など様々な人が集まってきた。参加費は、会場代と食材費を人数で割っており、この日は一人1200円だった。東京都国立市では、地元の主婦と一人暮らしの大学生らが公民館で一緒に昼食を作る「おかんめし。」が月1回聞かれている。「国立のまちにたくさんいる学生と交流したい」「もっと野菜を食べてほしい」と、主婦らが筑前煮や酢の物の作り方を教えている。会費は食材費の500円だ。世田谷区の古民家を会場に月1回開かれているのは「共奏キッチン」。フェイスブックを通じて集まる参加者は10代~50代と幅広い。主催者は「『食べる』という行為は誰でも日常的にすること。交流のきっかけになりやすい」という。食事イベントは一人暮らしの高齢者を支える役目も果たす。板橋区の高島平団地では、NPO法人が団地の空き店舗を借り、「おうちごはん」を月に約20日、開いている。住民が交代で昼食を作り、食べたい人が自由に食べに来る。高齢者の参加が多い。
「おたがいさま食堂」を主催する斉藤さんは、まちの人々をつなぐ食事イベントを「まち食」と名付け、昨年4月には各地のイベント主催者に呼びかけ「まち食サミット」を開催した。こうした食事イベント向けのレンタルキッチンも相次ぎ誕生している。「おたがいさま食堂」が4月の会場として借りた一軒家は「okatteにしおぎ」。オーナーの会社社長竹之内祥子さんが自宅を改築、1 階を広い土間の台所にした。「『みんなのお勝手』というイメージで、地域に聞かれた台所にしたい」
横浜市旭区の雑居ビルにある「シェアキッチン・マナハウス」は、栄養士の笹尾郁美さんが昨秋空き店舗を活用してオープンした。

地域の居場所作りに詳しい、公益社団法人「長寿社会文化協会」常務理事の浅川澄一さんは、「食事イベントの人気は、緩やかに地域とつながりたいというニーズの表れ」と指摘する。今の時代、濃すぎる人間関係にどっぷりつかるのは嫌だが、時には大勢で食卓を囲みたい気持ちもある。「毎回違う顔ぶれで料理を作り、食べ終われば解散するイベントは、ちょうどいい居場所なのでは」と話す。

【老若男女台所と関わり】
「台所の歴史」に詳しい京都大准教授(農業史)・藤原辰史さんの話
かつて日本の農村では、集落ごとに共同で農作業をしていた。農繁期や冠婚葬祭時には、一つの家の台所に女性たちが集まり、皆で食事を用意するという「台所の共有」が行われていた。戦後、台所のプライベート化が進んだが、最近再び、家族以外の人と食事をする楽しさが見直されている。プライパシーを守りながらも新しい形で台所を共有しようとする試みが「まち食」なのではないか。また、これまで、食事の支度は主婦だけに押しつけられてきたが、「まち食」には男性も自然体で参加しており、老若男女が台所に関わるチャンスにもなるだろう。

【「家に招待」派減少】
博報堂生活総合研究所が、首都圏と阪神圏で1998年から2年ごとに行っている意識調査によると、「パーティーを開くなど、友人を家に招くことが好きな方だ」という人は減っている
(=グラフ=)。
「人づきあいを面倒だと思う人が増えている、という調査結果もあります。ただ個別に話を聞くと、困った時には友人や隣人を頼りにしたい、とも考えているようです」と研究員の夏山明美さんは指摘する。

【大勢の食卓で心豊かに】
*取材を終えて「おたがいさま食堂」のテーブルに、シソのふりかけを混ぜ込んだおにぎりがあった。子どもを連れて参加した母親が、「うちの子は、家ではこれを絶対に食べないのに、ここでは食べるんですよ」と話していた。大勢で囲む食卓には、苦手なものも思わず食べてしまうような楽しさがある。こんな、みんなの台所ともいえる場所が地域に増えれば、もっと心豊かな暮らしができるのでは、と思った。

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