In まち暮らし不動産

家でこもる人たちに送る「距離観コラム」。
本日は篠原です。

この機会に古典を読む。家での心地よい空間を考えるためにふりかえっているのは、クリストファー・アレグサンダー「パターンランゲージ」です。人が快適に感じる空間にはパターンがある。そのパターンを用いて、街から住まいまで設計する手法が書かれています。253あるパターンのうちからパターン179「アルコーブ」より抜粋です。
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『同じ天井高の均質な部屋では、集団の人間の必要は満たせない。集まった人々のに集団でいる機会を与えると同時に、同一空間で1人か2人で孤立できる機会も与えねばならない。』

『家族の成員が別々のことをしながらも一緒にいられるような方法が必要になる。つまり各人が別々のことをできる小空間が家族室の中に必要だということである。』

『そこにいてもなお他の人々と「一緒に」いられるように接続せねばならない。』

『同一空間内での孤立と共存という相反する要求がほとんどすべての家庭で生じるということである。』

『仲間を完全に見捨てずに必要なプライバシーが得られるのは、アルコーブかそれに類する空間しかないのである。』
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アルコーブとは、「部屋や廊下など、壁面の一部を後退させてつくったくぼみ状の部分」です。マンションの共用廊下から少し後退させた玄関前のスペースを指すほうが一般的かもしれません。
日本家屋でイメージするなら床の間もアルコーブ上の空間です。
さて、必要なプライバシーを得るのにアルコーブしかない!とアレグザンダー氏は言うものの、限られた部屋の中でくぼみをつくるのは難しい。ましてや賃貸でアルコーブがある部屋はまれです。

2DK賃貸暮らしの自宅でもアルコーブはありませんでしたが、背の高い本棚と机でつくった簡易アルコーブが写真の一枚。6畳間の一角にしつらえ、くつろぐソファーと集中する机が共存しています。

アルコーブは主に妻の書斎。妻曰く、「端っこ好きで囲まれているから落ち着く。」とのこと。ソファーで僕が本を読んで過ごしていても気にならないといいます。

自分でつくるアルコーブしかり、手持ちの家具の置き方で居心地が変えられるかも?

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